地元のライバル小井土正亮

日本代表・三笘薫も「サポートになった」と証言!プロ顔負けのデータ分析を行う筑波大学に密着

https://tv.yahoo.co.jp/news/detail/tvdogatch-e5658f3c245ded49883a85c4057876d6

ニュース2022/9/4

 9月3日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:25~)は、データ分析によって進化を遂げた大学サッカーに注目。サッカーとデータのあるべき関係を探っていった。 かつての日本代表といえば、高校サッカー出身者が大半を占めていたが、現在は大学とクラブユースの出身がほとんど。伊東純也や三笘薫、守田英正など、大学で実力を磨いて代表の主力にまで上り詰めた選手が増えている。

 

 高校卒業時、川崎フロンターレのユースからトップチームへの昇格を断って大学に進んだ三笘は、「プロだと結果が求められる世界なので、自分的には2年、3年と長期的に体を作りながらやっていくほうが最終的にはいいんじゃないかと感じていて」と当時の心境を回顧。自身の能力を冷静に見極めたことで、大学ではメキメキと実力を伸ばし、川崎フロンターレでのルーキーイヤーでは、通算18ゴールとブレイクを果たしている。

 

 そんな三笘の恩師である筑波大学蹴球部の監督・小井土正亮がスタジオに登場。小井土は三笘について、もともとタレント性があったといい、「特殊な能力というのは彼にしかないものだったし、それを磨き続けた感じがします」と振り返る。

 

 そして、大学で三笘の能力を磨く手助けになり、成長を支えたのがデータ分析だった。三笘が「データを使いながら練習をしていて、本当にプロ同様にやっていた。新たな発見だったり、自分に足りないところを補う上ですごくサポートになったりしたと思っています」と証言する通り、筑波大学の蹴球部ではデータの分析を積極的に行っており、学生でありながらデータ分析を行うアナリストが36名も在籍しているという。

 

 近年、他の大学でもデータ分析を重要視する傾向にあり、番組によると筑波大学が所属する関東大学サッカー1部リーグでも半数以上の大学にアナリストが在籍。筑波大学の4年生で、蹴球部のアナライズ班に所属する学生アナリストの梨本健斗は、「次の対戦相手の分析のために試合映像を撮りに行くんですけど、隣でカメラを持っている人が他大学のアナリストの人だったりすることも増えています」と打ち明ける。

 

 筑波大学では、かつてJリーグのクラブで分析を担当していた小井土の監督就任にあたり、選手をサポートするパフォーマンスチームを創設。データ分析を行うアナライズ班やデータ班をはじめ、メンタル面のサポートや栄養管理も学生たちが行っている。番組では蹴球部の練習に密着。そこでは、練習やリハビリのメニューをパフォーマンスチームの学生たちが自ら考え、チームを動かしていた。

 

 梨本の所属するアナライズ班では、対戦相手の映像を集めて、ソフトを使って試合を分析。映像をまとめて監督や選手にプレゼンテーションするのが仕事なのだとか。スタジオでは梨本がデータ分析を実演。Jリーグや海外のクラブも使用しているというソフトを操る姿に、MCの勝村政信や解説の都並敏史も感心する。

 

 試合後は、アナライズ班からデータ班にバトンタッチ。試合前の準備を担うアナライズ班に対し、データ班は試合や練習におけるデータの収集と分析を行っていた。選手の背中に取り付けたGPSで走行距離やスピードを計測したり、練習や試合の映像から様々なデータを集めたりしているという。映像解析ソフトで割り出した選手ごとのパス回数、パス方向、成功率などをもとに、選手に課題を伝えるまでがデータ班の仕事。アナリストたちには、分析力だけではなく、会話力やコミュニケーション力なども求められる。

 

 しかし、アナリストから伝えられた課題や、解析ソフトの結果をどう活かすかは選手次第。小井土は「差がつくんですよね。ツールを使って自分で振り返る選手はどんどん良くなるし、やらなければどんどん差が開く。そこに変わりはないんですけどね」と、今も昔も成長できるかどうかはあくまで選手次第であることを強調した。

 

 全力で選手を支えるアナリストたちの姿に、勝村は「選手も1勝の意味がわかっていくんでしょうね。自分たちだけじゃなく、スタッフも含めて勝っているんだって」と指摘。都並も「支えてくれる人への感謝というのは口だけじゃなく、本当に感じられるようになる。仲間たちの情報で意識の高い人はどんどんクリアになっていく。4年間で心技体のバランスもよくなっていく」と解説し、「うらやましいな。本当に素晴らしい!」と絶賛した。

 

 近年、学生アナリストがプロのクラブでアナリストになる例も増えているそう。小井土は「毎週、Jリーグと同じようなレベルの練習や試合があるのも大学サッカーのいいところなので、その高いレベルの中でアナリストも鍛えられている。彼らにとっても大きな可能性を持てる仕事になるんじゃないかと思うんです」と展望を語った。

 

 最後に小井土は「プレーの回数や失敗の回数が多くの人の目に触れられているけど、それをどう活かすかというフェーズに入ってきている」と、サッカーにおけるデータ分析の“現在地”に言及。データの重要性が増すことを示唆しながら、「数字の羅列ではなくて、本人に刺さる数字を伝えられるかどうかは指導者でありアナリストの仕事になる。データの量ではなく、その質や伝え方で勝負が決まっていくんだろうなと思います」と考えを明かした。