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美濃和紙ができるまで

  1. 原料

    美濃和紙の原料には、楮、三椏、雁皮などがあります。
    楮(こうぞ):障子紙、便箋、封筒
    三椏(みつまた):お札など
    雁皮(がんぴ):あぶらとり紙など
    【剥皮(はくひ)】楮の木の皮をむいて白い皮にします。

  2. さらし

    原料を水に浸す事によって、水に溶けやすい不純物「あく」を除き原料を柔らかくします。
    昔は「川晒し」といって、川の流れに2、3日楮を浸しておきました。
    最近は作業場に作った水槽で行われることの方が多くなりました。

  3. 煮熟(しゃじゅく)

    楮の繊維だけを取り出すために、晒された楮を炭酸ソーダを入れた大釜で2時間ほど煮ます。

  4. ちりとり

    まだ原料に残っている黒皮などのチリ、変色した部分などを、流水の中、丹念に手作業で取り除いていきます。

  5. 叩解(こうかい)

    ちりを取り終わった原料を、石の板の上に置き、木槌で叩いてほぐします。途中何度か返して十分ほど叩解します。
    現在では、この作業は『ビーター』という機械で行われることも多くなりました。

  6. 紙すき

    原料と『ねべし』と呼ばれるトロロアオイの根から抽出した液を、漉舟(すきぶね)に張った水の中に入れてよく混ぜ合わせます。
    次に、簀桁(すけた)という道具を使って漉舟(すきぶね)の中の液をすくい、揺ります。

  7. 圧搾(あっさく)

    すき上げた紙に圧力をかけて水分を搾ります。1日間、時間をかけながら徐々に強く絞っていきます。

  8. 乾燥

    一枚ずつはがした紙を特製の刷毛を使って板に貼り付け、天日で乾かします。
    今では、中にお湯を循環させる金属製乾燥機に貼り付けて乾かすこともあります。

  9. 選別〜裁断

    こうして出来上がった紙は、一枚一枚丹念に手にとって検品します。
    紙を光に透かして、破損、傷、チリなどの不純物があるものや斑のあるものを除き、紙の厚みも考慮して丹念に選別します。

    選別した紙を特製の包丁で、用途に合ったサイズに裁断。原料から、紙になるまで、大体10日かかります。
    また、原木から取れる原料の料は約8%。紙になるのはその半分といわれるので、100キロの楮の原木から出来る美濃和紙はわずか4キログラムほどということになります。

特徴

美濃和紙は、「流し漉(す)き」の方法で漉くので、紙面に漉きムラがなく繊維が絡むため、出来上がった和紙は薄い紙でも布のように丈夫でしかも美しく出来ます。
障子紙を始め、保存文書用紙等に最適です。

歴史

奈良時代の戸籍用紙が美濃和紙であったという記録が「正倉院文書」に残っていることから、美濃和紙の始まりは、奈良時代だと考えられています。
室町時代になると、地元の権力者である土岐氏によって六斉市(ろくさいいち)と呼ばれた紙市場が開かれたことで、美濃和紙は京都、大阪、伊勢方面に出荷され、広くその名が知られるようになりました。
美濃における最初の紙は、現存するものとしては大宝2年(702)の戸籍用紙で、美濃、筑前、豊前のものが正倉院に残されています。
コウゾを原料として溜め漉き法にてつくられた紙で、美濃の紙は「特に優れたでき映えである」と評されています。
江戸時代になって生産量もますます増大し、近江の商人らにより美濃紙は中央に進出するようになります。
書院紙として代表的な「美濃紙」は、その優れた抄紙技術に支えられて、全国数ある障子紙の中でも折紙付きとなり、現在の「美濃紙」ブランドの根源となっているものです。
その後、技術の発展、生活様式の変化等により、障子紙、傘紙、謄写版原紙から、手漉き和紙の特徴を活かした工芸品的な多種類の紙を用途に応じて生産しています。
生産者数は、産地での最盛期は1918年で生産者戸数4,768戸、従業者数17,782人を示しましたが、現在は六十余名、三十数戸まで減少してしまいました。
美濃和紙業界の振興、地域活性化大作の一環として、美濃市においては平成6年に地元和紙の産地の蕨生地区に美濃和紙の里会館を設立しました。
これは単に「美濃手漉き和紙」のみの会館ではなく、世界へ向けた幅広い和紙文化、情報の発信基地として活躍することが期待されています。

落水透世

ケミ芥見が考案したオリジナルの技法“落水透世”です。
絵を描き上げた後、その絵の上に新しくすきたての(濡れたままの)和紙を乗せます。そしてその和紙に雨の様にシャワーで水を落とします。(「落水紙」といって、読んで字のごとく水を落として模様を作る和紙の事で、美濃市で開発された技法)
落ちた水で表面の和紙に濃淡ができ、奥の絵にも濃淡が出来ます。
一見、表面の落水紙のせいで絵の薄い作品に見えますが、後ろから光を当てることにより絵が浮き出てくるとう作品です。